tipToe.「daydream」のこと

tipToe.のニューアルバム「daydream」を聴きました。

先日までヌュアンスのことばっかり言ってましたが、このtipToe.は大概にせえよと言いたくなるレベルの頻度でヌュアンスとイベントで共演していまして、今作もヌュの「town」と同日リリースで新宿タワレコではこんな展開がされる始末。

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私はライブはtipToe.の方が先、昨年の@JAM EXPOで観ていました。彼女たちのキャッチフレーズは「一緒に青春しませんか」というものですが、その佇まいや楽曲はアイドルネッサンスのオタクをして「アイルネ解散のショックからtipToe.が救ってくれた」と言わしめるものであり、そのライブを観てこれは「放課後に教室で静かに本を読んでいる女の子」のアイドル化だと思いまして。
彼女たちが示す「青春」とは明るくはじけるものでなく、そういうものであると。これは発明だな、と思いました。

前アルバム、昨年3月の「magic hour」は、朝や昼の描写はあるもののおよそ全てのストーリーが放課後や夕方頃の景色や心情に収斂されていく、ふわっとはしているものの明らかにコンセプトは感じる作品でした。

そして今作との間、昨年8月に「thirdShoes.」という4曲入りのEPがリリースされるのですが、ここではアルバムと全く異なり、収録された4曲の一貫したテーマは「夜」でした。
とはいえ、聴いたその時には「まあまあいいかな」くらいで済ませていたものが、12月になって3曲目「ナイトウォーク」のMVが公開され、その映像の「曲を浮かび上がらせる」ものすごい力にビビるわけです。
明らかにこれまでとチャンネルが違う場所にいる。ここで彼女たちの運営含めての本当の総合的な実力を知ります。やべえ奴らだった。

そこから半年と少し、今作「daydream」の最後の4曲は「thirdShoes.」の4曲と曲順含めてそのまま。手抜きかよと一瞬思いましたが、あの世界観はこの曲順でやらないと意味がないので仕方ないのです。
そしてその前の1曲目から6曲目のストーリーは夕刻から夜に向かっていく流れで並べられていて、つまり「magic hour」から完全に地続きの形で今作に受け継ぎ「夜」がテーマの既発4曲に連なっていく仕組みになっています。

曲も歌詞も「magic hour」以上に内省的になっていますが、でも前作以上に「茜」や「ナイトウォーク」のような「エモさ」がくっきりと見える曲も入ったり、「夜」の楽曲群からもこの女の子達がただ行儀よく「教室で本を読む」だけの女の子ではないことも見えてきます。
自分の過去を翻って考えてみれば楽しかったり前向きだったりより、何か考え込んだりいらぬ心配をしたり落ち込んだり、それで感情的になってしまいがちな「青春」であったことを思い出すのです。こっちの方が自分には多分正しい。

とりあえずこのグループもぼさっと聴いていてはいけないことが今回とてもよくわかりました。
もう少し楽に聴かせてよ、と思わなくはないですが、嫌いじゃないから。嫌いだったらここでこんなこと書いてないから。

明日から恒例のVIVA LA ROCKです。今年から4日間開催なのですが、そんなの知ったこっちゃないから私は諸々の都合で3-5日の3日間です。
また【備忘】とか言いながらTwitter連投すると思いますが、よろしくお願いします。今年のゴールデンウイークはアイドル系の危ういフェスがなさげなので少し寂しいです。