タワーレコード錦糸町パルコ店のこと

正直、CD販売チェーンが普通に新店舗を出すとは思っていなかったのでびっくりしましたが、昨日3月16日にグランドオープンした東京の錦糸町パルコ内にタワーレコードがオープンしました。

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元々錦糸町には駅から徒歩5分くらいのところにあるオリナスモールにタワーレコードが入っていたのですが、2018年2月に閉店。既にその時にはパルコ全体のオープンは決まっていたので、オリナスモールとの契約更新のタイミングで一旦店を畳んでパルコのオープンを待っていた臭い感じもしなくはないですが、実際のところはよくわかりません。

で、その前の店の時からアイドル系イベントをよく実施していた店舗ではあったのですが、今回自ら「アイドルの聖地」を掲げてオープンした店舗はまさにその言葉に偽りなしの、なかなかエグい店舗でした。

まず予想以上に床面積が広い。フロアマップ見たらそのなかなかなサイズ感わかっていただけるでしょうか。現秋葉原店よりは大きいです。入口を入って右に女性アイドル、左に男性アイドルの棚が相当に大きく取られ、かつ店の奥には相当大きなイベントスペース。
J-POPについてはそこそこ揃えてはいるものの、洋楽全般については棚1列程度に収められていて、男女アイドルの棚を足したらそっちが軽く凌駕するレベルの著しく偏った品揃え。
先日の渋谷店のリニューアルも相当でしたが、錦糸町のこの店は店舗丸ごと所謂接触イベントの効果も込みで「今CDが売れるジャンル」に寄せまくっている印象。

よくぞここまで振り切ったという気持ちもありますが、既存の中型店舗をこういう形でここまでリニューアルすることは既存顧客を大きく切り落とすことにもなりますので、まだ顧客が付いていない「グランドオープン」の形で仕掛ける必要があったのだろうという想像もできます。

が、そういうふうに「CDが売れる」ジャンルに寄せまくっている状況を見るにつけ、確かにそれは正しい選択ではあると思うのだけど、もうそこにしか生き残るための術がないからそこに行かざるを得ないとも言えますし、バランスの良いオールジャンルのスタイルをある意味「捨てた」ことは「撤退戦」の趣きすらあります。
しかも、そういう戦術でイベントがない時の売上がどこまでいくのか。結局お祭りの時の縁日みたいなことになってしまうのではないかという不安も。
21日に行われる新宿店のリニューアルも近しい方針のようで、この本土決戦でタワーレコードは生き残るのか、玉砕するのか。

で、そこまでドラスティックに方針を変更していく余裕すらなさげな他のチェーンはどうなるのか。

とりあえず、タワーレコードがそういう偏った品揃えになったことで、錦糸町駅前に唯一残った「街のレコード屋」であるセキネ楽器店は、もはや演歌専門店状態なのでカブり一切なくて安心です。
アルカキットにある新星堂がどうなるのかはよくわかりません。

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