Maison book girl「yume」のこと

Maison book girl / yume (Album)

聴いた周囲のオタクたちが揃いも揃ってすごいすごいと言っているので聴いてみたらすごかった。全く「熱く」はないのにとんでもないエネルギー量を感じる音楽。
これまでの彼女たちの楽曲は「様々な音色やビートを使用して最終的にどこかいびつなものを作り出す」作業の末に生まれたものだとしたら、このアルバムの新曲群は「いびつな形のパーツを組み合わせることで音楽として成立させる」作業の結果になったというか、どこかこれまでと制作のアプローチが異なっているような感じがします。

そして総トラック数21、だいたい曲と曲の間にインタールード的な楽曲が挟まり、というかインタールードというには大作すぎな2分47秒の後に来るのが3分59秒の曲なんていうバランスの、とてつもなく奇妙ではあるもののアルバムとしての流れに無闇にこだわっている。
1曲なんぼでダウンロードできて、曲単位でプレイリストでシャッフルで聴かれることが当たり前になった今、ここまで「アルバムをひとつの作品として成立させようという意志」を感じることってあまりなく、少なくとも日本では代代代のアルバムとか、むしろアイドルグループの方にそれを強く感じることが多いのです。
それはもしかしたらもうOUT OF DATEな発想なのかもしれないのですが、それでもこういう作品を生み出そうという意志には最大限のリスペクトを。

そしてここまでやるのであればアナログを出してほしい。曲間の無音の時間を詰めるのか離すのか、このアルバムは毎曲間コンマ何秒までコントロールして初めて完成するような気がするのです。
でも収録時間的に2枚組になるし、今のアナログ盤新譜は高いから、出たらきっとビビりながら買う。