最近の音源の売り方・売れ方のこと

年間チャートが発表される頃になると、「AKB系とジャニーズだけじゃないか」「J-POPは死んだ」といったフレーズが飛び交うという事象が、2010年から毎年繰り返されているので、実際いつ死んだのかさっぱりわからないのですが、というかその2010年の年間チャートの凄まじさを越える状況というのは、恐らくこの後もなかなか出てこないと思うので、もう今年は誰も何も言うな。

そもそも今現在、パッケージのシングル盤は男女アイドル系以外は相当リリース数からして減ってますし、出してもかつてのような大々的なプロモーションを行わないことも多く、そりゃ「シングルCDを気合い入れて売る」気がある残り僅かな属性だけの年間チャートにならない方がおかしいわけで。

そして「年間チャートには入れないけどそれなりに気合い入れてシングルCD売る気がある」勢多めのアイドルグループの中にも徐々に「脱CD販売」的な方針に向かいつつある運営もあります。
先日ライブに行った劇場版ゴキゲン帝国も、店舗流通のCDは一切制作せず、盤としてベストアルバムはあるけれど、会場販売のみ、要するに他の物販と同じ位置付けであり、新曲は全て配信のみでリリースしています。
また、こちらも以前紹介しましたが「CD売るのやめました」というCDを作ってはあちこちの夏イベントで無料でばら撒きまくっていたnotallは、10月には「CD売るのやめました 2」をリリースしてまたばら撒いています。

2007年の段階でCDをイギリスの新聞のおまけに付けてばら撒いたPRINCE殿下の先見の明たるや、と思いつつ、日本のCD大好きボリュームゾーンの中のグループですら徐々にそういう方針に向かうのですから、そりゃオリコンも配信入れたチャートにしたくもなるわという状況ですが、今年の秋と言われているその総合チャート化に際して今の「シングルCDを気合い入れて売る」属性の方々がどう動くのかすごく気になっています。

絶対嵐とAKB48のシングルCDリリース日が重ならないのは、どこかで誰かが交通整理をしているからだということは割と容易に想像が付きますが、普通に総合チャート化するとその交通整理の意味が極めて希薄になる可能性があるわけで。
要するに、いくらみんなが1位になれるようにリリース日を調整しても、安室引退のようなニュースが入ってきたり、どっかのグループが急に解散したり、ぶっちゃけ有名なミュージシャンがぽっくり逝ったりして、爆発的に代表曲の配信・サブスクが伸びたりしたらどうすんの、というあたりで。楽曲入手までのリーチはCD全盛時代よりむしろ格段に短く簡単になっていますから。

なので、配信も入れた総合チャートですが、「シングルCDを気合い入れて売る」属性からの要請もきっとあるでしょうし、「配信の1ダウンロードを1とした場合、CD1枚の売り上げは2とカウントしますよ」くらいのことはやってくるんじゃないかと、思っていたりもします。
正直、本当にやりかねない。割と本気で。