音楽の嗜好によるゾーニングの変化のこと

back number、2018年に初のドームツアー

Mrs. GREEN APPLE、5月より幕張メッセ2DAYS含むホールツアーへ

いつの間にそんな規模で、と思った2件。正直ショックを受けました。

前々から申し上げている通り、もう「国民的ヒット」は出ない世の中になりました。音楽の力が弱まったとか、スターが不在とかでなく、もう構造的に。
SNSで同じ嗜好性の人たちが容易に繋がれる時代になり、YouTubeで曲を聴いたらそれに近しい曲がレコメンドされる。しかしその分歌番組は減り、CD店の店頭も減り、そもそもCD売上が人気を反映したものではなくなり、いろんなミュージシャンが載っている雑誌も売れず、そうやって嗜好性の外にある音楽に接する機会は失われていきます。

結果、非ジャニーズ系の男子アイドル勢が徐々に力を付けてきたけど、そこに興味のない人はグループの名前も知らない。
K-POPは相変わらず男子グループは強かったり、女子グループもTWICEは久々に来たり、でもその範囲外の人たちは男子グループのドームツアーを「サクラ動員」と言ったり、TWICEの人気を全く信じていない人もいたり。
アニソン出身のバンドが短期で武道館までたどり着いたけど、アニメ属性のない人は彼らの曲を全く聴いたことがなかったり。
そういうことが普通の状態になり。
完全に嗜好でのゾーニング・囲い込みが完了し、同好の士の中での人気者・スターは生まれますが、その中の盛り上がりは囲いの外にはほぼ何も影響を及ぼさないし、認知すらされない。

それが悪いわけでもなく、自ずとそうなっていっただけで。
実際自分も、New Orderのスタジオ・コーストでの単独来日が決まった際、自分が登録しているSNSの類のタイムライン上の盛り上がりハンパなく、「これアリーナとかでも行けるんちゃうか、少なくともスタジオ・コーストじゃ狭すぎだろ」と思ったら、実際には普通に当日券も出ていたので、自分も間違いなくそういう感じの囲いの中にはいるわけです。

それでもできるだけアンテナ立てて、囲いの外まで知っておこう、理解しようと努めてはいたのですが、結局back numberもミセスもそのアンテナには引っかかっていなかったというか、存在は知っていてもまさかここまで大きいとは肌感覚ではわかっていなくて。

何でだろうと思い、考えて立てた仮説。
「これまで『日本のバンド』という括りで見ていれば全体大まかでも理解できたものが、今は『日本のバンド』のゾーニングがさらに細分化して、これまでのアンテナでは受信できない『壁の向こう』が出現している」。
そう考えないと自分で納得できないのです。

ヤバい。ただでさえおっさんになってどんどんアンテナの受信力が弱まっている中で更にそんな状況は大変にまずい。「新しい音楽を面白いと思えなくなって『昔の音楽はよかったなあ』と口にした時点で全ての音楽を聴くのをやめる」と決めている身からすると、徐々にタイムリミットが迫ってきてるのかもしれません。
おっさんが強まっていくのはイヤですが、かといって狭いゾーニングの中で満足している自分も想像するとあんまり嬉しくない。とりあえず、アンテナを磨く。