自分のコミュニティの外の景色は見えないよねということ

たとえばK-POPのグループがドーム公演をするというニュースが発信されたりすると、ネットの特定の一部では「サクラだらけに決まっている」とか「どんだけガラガラだろうとやったら実績ということなんだろ」みたいな声が必ず出てきます。
サクラや空席だらけの4大ドームツアー全10公演以上を4年連続で実施するメリットなどどこにもなく、というか当日に水道橋駅周辺に行けば実際どのレベルの動員状況なのかは自ずとわかるはずなのですが、それでも必ず一定数以上出てきます。

K-POPは現在既存メディアのオーバーグランドに情報が出てくることはほとんどありませんが、専門誌や専門サイト、コミュニティへの働きかけでそれなりの動員が可能だということはもはや自明。特に男子グループの方は完全に仕組みが出来上がっていて、そのコミュニティ内の情報流通によって複数のグループがスタジアムクラスのツアーを回していけるだけのファン層を押さえ続けています。

K-POP以外のジャンルでも、BABYMETALは既存メディアが積極的に取り上げるようになる前の段階で既に武道館2DAYSを即完させていましたし、ゲスの極み乙女の例の件が表沙汰になった際、「誰だよ」「知ってるけど聴いたことない」という声が思っていた以上に多かったのを覚えていますが、その頃には単独ワンマンで10,000人以上を一度に動員できるレベルの存在であったわけで、個々のアンテナの張り具合では全く受信できないところであっても別の方向にアンテナを張っている人だけでそれなりの規模の動員があり、経済が回っています。
ていうか、アニメに興味なかったら何でμ'sが東京ドームでライブできるんだよって思う以前に誰だよお前らって話ですし。一般的には。


で、アメリカ大統領選、ああいうことになりましたが、まさにそういう感じだなと。自分のコミュニティにはトランプ支持の人間なんか一人もいなかったとしても、見えないところにあれだけいた。

名だたる大新聞やミュージシャンがすごい勢いで声を上げキャンペーンを張ったにもかかわらず、その意志と反した結果になった流れは要するに、「K-POP聴いてる人間」的な存在が投票日も近くなった頃にようやく見えてきて、急いでキャンペーン張った頃にはもう遅かったというか、大新聞読んでいたりそういうポピュラー音楽に慣れ親しんでミュージシャンの言うことにシンパシーを持ちうる人たちは、新聞や音楽が普通に生活の中にある人たちであり、どれだけ声を上げてもそれは元々同じコミュニティに属している中での情報流通にしかならず、向こう側にはそもそも届きようがなかったという感じの。

これこそがサイレント・マジョリティであり、欅坂の平手ちゃんにも感想を伺いたいところですが、多分それはいじめに近いのでやめよう。