TSUTAYAのこれからとかのこと

今のところTSUTAYAの1月の閉店確定11店舗、2月の閉店確定10店舗。確認するたびに増えている。もう年明け早々からぶっ飛ばしています。
いつも言うてます通り、不採算店を渋々切っているだけならこんな数にはならない。フランチャイジーのことは最低限気にしつつも基本路線はTSUTAYA事業の将来的な収束か、少なくとも縮小路線であることは間違いなく。

一方、CCCが新しい都市に手を出すたびにだいたい何かでも揉めているヤツ、行政と組んでの図書館事業ですが、高島屋が撤退した後の南海電鉄和歌山市駅の駅ビルにCCC主導で図書館を入れる話が、これもまた非常に揉めています。
しかし、裏を返せばこれだけ無理くりな手を使ってでもCCCはねじ込みたいわけです。ここから推測できるのは、CCCは企業としてのメイン事業をBtoCからBtoBに振り替えていきたいのではないかということ。

図書館の他にもTカードで得られた履歴情報をビッグデータ化してその解析を売るとか、その解析をベースにしたコンサルティングとか、企業団体相手にやれるビジネスは山ほどあります。
代官山やら枚方のT-SITE事業は言うてみたら、イオンモールと同様の「箱貸し」としてのBtoBビジネスとしての側面も大きいわけですし。

ここまで考えると、このタイミングでTSUTAYA事業をシュリンクさせてもいいと判断した理由もおよそ想像することができます。
Tカード事業を始めた頃は、とにかく枚数の発行と提携先の拡大が急務。ということで、そのスタートとしてレンタル会員券をTカードに置き換えることで一気に爆発的な普及を図り、その数を餌にして提携先をガシガシ増やしていきました。
「どこでも共通のポイントがたまる」利便性・お得感で更に会員を増やし、その結果相当な数の人の買い物履歴を把握し、個人特定情報は削除するにしてもビッグデータとしては申し分ないだけのものが入手できるようになりました。

Tカード事業開始以降に限って言えば、CCCにとって一番重要なTSUTAYAの役割はレンタルや販売を行って利益を上げることではなく、Tカード発行と利用の最前線としての拠点であることでしたので、総人口の過半数にあたる枚数を発行し、コンビニやドラッグストア等の生活拠点になりうるチェーンが提携先企業になり、そこでも独自のTカードを発行できるようにしたあたりで、TSUTAYAの役割はおよそ終わったということになります。
だとすれば、たとえ今はトータルで赤字ではなくても、この先大きな増益が見込めず、壁が待っていることが容易に想像できる業態をいつまでも続ける意味はない。

いつか来る完全な収束までを見通したうえで、フランチャイジーと話をしながら店舗を閉じていく。昨年まではそういう大きな方針のもと、地域ごとに店舗を間引いていって、お客の動向を見ている段階なのかなと思いました。
1店舗閉じることで近隣の他の店の売上が上がるのか、さして上がらない、つまりその店舗で借りていた層は他の店舗には回遊せず店舗での購入・レンタルを諦めてネットに移行するのか、そのあたりを見極めているのではと考えていたのですが、恵比寿ガーデンプレイス店や梅田堂山店のような大都市で拠点となっていた店まで閉め始め、新宿TSUTAYAが改装後レンタルとは何の関係もない書店+コワーキングスペースとしてリニューアルしたあたりで、もうその段階は越えているのかもしれんなあ、と。
さっき言ったところの「さして上がらない」方が全体的に正解だと既にジャッジはされていて、渋谷や戎橋や熊本三年坂店等各地域の直営系蔦屋書店のように、地域に発信する機能まで持ち得る大型店舗を除いては、もはや店舗存続を保証する何のプロテクトもかかっていないのではないかと思うのです。
正味そんな渋谷でもCDレンタルは徐々に縮小傾向だったりしますが。

ということで、この状況は他の何に近いかと考えた場合、1986年から1988年頃、レコードよりもCDの方が販売が多くなってきた時代の状況に近い。
徐々にCDでしか出ないタイトルも増えてきて、まだCDプレイヤー持っていない人のためにレコードも出すよというのが徐々に減っていって、1990年頃には新譜としてレコードを出すミュージシャンがほぼ絶滅したような。

それに例えると今は、レコードをいずれ出さなくすることは既定路線としてあって、需要を見ながらレコードも出すタイトルを決めているあたり。だから、たぶんTSUTAYAが今のような感じでいるのはあと数年。そしてレコードのように将来文化として店舗レンタルが再評価されて、また店舗数が増えたりすることは、ないな。