tipToe.@渋谷CLUB QUATTROのこと

ふと思い立って行くことにしました。というのは、先日も話をした彼女たちのアルバム「daydream」が本当にいいアルバムだったことと、先日のヌュアンスのO-EAST公演が途轍もなく素晴らしかったのですが、あれを作ったフジサキPと一番つるんでいるのは、むやみやたらと企画ライブで一緒になっているtipToe.の本間Pであり、だったらその影響だか何かで、こっちも何かエゲツないことになってやしないかと思ったから。

結論としては、エゲツないとまでは行きませんでしたが、大変に素晴らしいライブでした。
アルバム「daydream」の1曲目「The Curtain Rises」からスタート。そこからは、1stやシングルや2ndの前半の楽曲を交えながら進み、インタールードを挟んで「茜」「アフターグロウ」。さあ、来たぞ。「daydream」後半「夜の部」に入る直前の2曲。
果たして改めてインタールードを挟んでポエトリーリーディング「はやく夜が明けておはよう。が言いたい。」が始まり、アルバム通りに「blue moon.」「砂糖の夜に」そして「ナイトウォーク」。やっぱりここの「夜の部」は解体できないのだな。やっぱりこの流れが大好きだ。
当然次はアルバムの曲順通り「星降る夜、君とダンスを」来るぞ、と思ったら、来ない。代わりに彼女たち史上最もハードなイントロと共に新曲。歌詞から「夜」という単語は聞き取れたので、恐らく世界観は地続きだ。そして新曲が終わってMC。ここで「夜の部」終了。
そこからはもうアげっぱなしで進みもう「エモい」としか言えない状態に。そして本編最後に「星降る夜、君とダンスを」。なるほど。全体としてアルバム「daydream」の大きな流れを、既存の他の曲、新曲も組み込みながら拡大して解釈したライブ、と認識しました。

初めて観た時、彼女たちを「『放課後に教室で静かに本を読んでいる女の子』のアイドル化」と評したのですが、間違ってはいないと思うのだけど、もうそれだけの女の子でないこともわかった。僕らがあの時教室で見ていた女の子は、教室でのそれが全てではなく、家に帰ったら生活をしているし、生活をしながら楽しかったり悲しかったりいろんな思いを抱えている。
担当カラーがあったり、自己紹介の決まった口上があったりするような特別なピカピカした「アイドル」ではなく、もう少し自分たちの「普段」に近いアイドル感。それはもしかしたらものすごく「正解」なのかもしれないと思います。

次のワンマンは10月、渋谷VEATSでバンドセット。行きます。バンドセットが観たいのと、新しくオープンするライブハウスVEATSに行きたいから。

ロッキンオンの声優オーディションのこと

ロッキング・オン社、遂にアニメ制作および声優のマネージメント業に進出。

ロッキング・オンが手がける音楽アニメプロジェクト始動!

フェス事業を始めたときにはどうなるかと思いましたが、それ以降他のフェスの制作まで請け負うまでになりましたし、今回のこっちも相当にいろいろ仕込んでの業務開始ということでしょう。

ロッキンオン誌については、まだ「ジャパン」が分かれて創刊される前の時点で「広告を出したらレビューでよく書く」方針は見受けられましたし、正味「ジャパン」はそうやって回り始めたビジネスモデルを全面的に展開する形で立ち上がったものだと考えています。
もちろんビジネスですから何の問題もないですし、嫌なら買わなきゃいいだけです。フェスも立ち上げ当初はいろいろ言われていたように記憶していますし、JAPAN JAMとか最初は大失敗のそれ以降の方針変更や場所の流転を繰り返して、それでも諦めずにようやくここ数年でおよそ普通のフェスとして落ち着いた感じに持って行ったり、結果オーライです。

今回のこれも当然やるからには本気でしょうし、どうなるかわかりませんから、ただクサすのはやめようと思います。クサしたくてたまらないけど。
とりあえず声優なのに顔写真・全身写真必須という時点で、タレントとしても売るつもり満々というか今の女性声優のアイドル化の男子版か、「快感フレーズ」のアニメ化に際して実際にデビューしたバンドΛuciferっぽい感じの展開をやりたいんじゃないか的な想像をしてしまいますし、課題セリフのものすごい「ロッキンオン」臭はむしろブレてなくて好感持てますし。

一点気になったのはBのセリフ。サラリーマンのサラリーマン的な仕事を貶すタイプのこういうの、久々に見た気がします。
もしこのアニメをきちんとビジネスにしていくとすれば、想定される顧客の相当部分はそういうサラリーマンであるということを考えたら普通はできませんし、実際最近のJ-POPの歌詞でもこういうのはもうほとんど見られなくなっているのですが、敢えて今それをやるのが「ロック」ってことなんでしょうか。

私がロッキンオン買わなくなった要因は、「ジャパン」ではなく1989年、The Stone Rosesが初めてロッキンオン誌に載った輸入盤レビュー。「She Bangs The Drums」を聴いて仲間うちで「とんでもないのが出てきた」と盛り上がっていたところに、そのレビューの人は彼らの1stアルバムを「The Byrds等の60'sリバイバル」という観点でしか聴けておらず、心底がっかりしたことです。
まあその数か月後、「ロックの未来」とかそんな感じで、カラーページで特集組んでたんですけどね。そういうところもとてもロッキンオン。

ニガミ17才×DATSの対バン@リキッドルームの話

昨日はリキッドルーム恵比寿15周年企画のニガミ17才×DATSの対バン。

先攻ニガミ17才。
そもそもYouTubeで「おいしい水」のMV見て、これどう聴いてもライブが音源以上になるヤツじゃないかと思っていて、一度は生で観ないとあかんと思っていたので来たわけですが、まさにそんな感じでした。原則がっつりプレイヤビリティの高さを前提にした楽曲なんだけど、でもやっぱり平沢が存在としてものすごいアクセントになっていて、結果何とも言えない独特の空気感がステージから放たれる。

フロントの岩下が以前やっていた嘘つきバービーは、楽曲はヘンテコでも演奏はひたすらストイックだったイメージなのですが、ニガミ17才の平沢のシンセの上物の音色はやっぱりポップな方向に全体の空気を引っ張っていくし、ステージ上では無闇にうろうろしたりとか、弦2人がドラムの周りに集まってパッキパキの演奏している中に用もないのにその輪の中に手ぶらで入って行ったりとか、キャラとしてもストイックとは真逆の方向に持っていく。
平沢本人は「岩下の『地下』的な感性を地上に繋げる役割」を自認している旨、インタビューでも語っているわけですが、制作上だけでなくステージでも間違いなくそういう役割を担っていて。
結果、存在として恐ろしくユニーク。かつ何ぼでもこの先転がっていけそうな懐の深さもあるし、もう少し継続して観察していきたいバンド。

で、後攻がDATSだったわけですが、正味この順番はあかん。
DATSは音もステージも現在進行形でひたすらストイックで、でもセッション的な緊張感でもって引っ張っていくタイプでもないので、もうバンド的な位置付けがまるで違う。
そういう場合、ニガミ17才のニガミ17才的なところを好きな人は、DATSを同じテンションで観られないんですよ。逆ならDATSのファンも「何かおもしろいもの」として観てもらえるのですが。
結果、これまでいくつも対バン観てきた中で1-2を争うレベルで「後攻演奏中の途中で退場する観客」の数の多さでした。
DATSはDATSで悪くないし、アガる曲なんかはUnderworldとマンチェスターの合体みたいでかなり好きなんですけど、相当な割合がそこまで持たなかった。

でも考えてみれば、ライブハウス叩き上げのバンドが上に行こうとする場合、なかなかストイックな演奏だけでは難しいのは事実なわけで。
SHISHAMOのように既存のメディアの露出に乗ったパターンを除けば、レキシやヤバTや打首獄門同好会あたりの、「おもろい」曲とライブを続けて企画ライブやフェスでひたすら見つかり続けての今みたいなバンドがいる一方、バンドのクオリティを上げたうえでその上にポップなイメージや雫のキャラ演出を見定めて行った結果、頭一つ抜けた感のあるポルカドットスティングレイみたいな事例もあったり、先日2枚組でアルバムを出したサカナクションなんかは、ひたすら売れるための「作為」を身に付けていっての今だったり。

バンドの音楽的本質以外のオプションがあってようやく売れるというのはもう世の定め的なものであり、ニガミ17才は結果としてではあるものの、平沢あくびという高性能なオプションを身に付けて、これから上を目指そうというわけです。深夜帯ではあるものの平沢単体で地上波のバラエティにまで出てますからそりゃ本気ですよ。

ただ、テレビに出たり単体で知名度上げたからといって、それがただちに母体に還元されるわけではないということは、川島海荷がいた9nineとか篠崎愛がいたAeLL.といったアイドルグループがどうにもドンと売れないままどうかなっちゃったことからもある程度明白であり、やっぱりニガミ17才もバンドを一生懸命やってください。また観に行きます。

あまり具合のよくない新譜CD店の特徴のこと

<あまり具合のよくない新譜CD店の特徴>

  • 薄暗い
  • 棚のCDの背が日に灼けている
  • 当然アルバム紹介のPOPなんかどこにもない
  • 洋楽の棚が特に迷走している
  • 男性・女性で棚が分かれている
  • かつては店のロゴ入りの袋だっのに、最近は無地の汎用袋になっている
  • ここ数年でブレイクしたミュージシャンのCDがない。あいみょんや米津玄師等の紅白レベルはあるけど、KANA-BOONとかヤバTとかは影も形もない。
  • かつては小奇麗だったが、今は通路に在庫の段ボールが放置されていたり棚の補充がされておらずスカスカだったり、荒れた感じになっている。

全国各地の「新譜CD店がどんどん演歌専門店化していく」現象については、昔は卸業の営業さんもしっかりしていて最近の状況も踏まえて品揃えの提案とかできていたのが、それがどんどんキツくなっていき、かつ売る方の店の人も興味のないところに頑張るのも辛いので、もうそれは仕方ないのです。
でもその路線でガッツリ攻めに入れる店もあり、浅草のヨーロー堂なんかは店の手前は演歌ガッツリ並べていますが、それだけでなく店の奥には昭和歌謡やニューミュージック等もそれなりに品揃え、中古レコードまで装備している「昭和のセレクトショップ」とでも言うべき素敵品揃えなので馬鹿にできないのです。

で、じゃあ世の中でチェーン店以外でどれくらいのCD屋が上記に一切当てはまらずに生きているのかと考えると、正味相当少ないです。
自分の知っている中では、岩手のエムズレコード、千葉県千葉市千城台のU-Dio、千葉県館山市のカミヤマサウンドステーション、池袋東武百貨店の五番街、武蔵小山のペットサウンド、名古屋栄地下街の音楽堂、京都の清水屋、岸和田のYOUNG、高松松山のDUKE、福岡天神のインドウ、北九州市小倉の松田楽器、熊本のムラヤマレコード、大分のヱトウ南海堂、鹿児島の十字屋。マジでそれくらいじゃないかと。
ロゴ入り袋ではないけどそれ以外は本当に素晴らしい北海道留萌市の吉崎レコードみたいな事例もありますが。

それでもまだ全国にきちんと行ってないCD店も数多く。もうね、正味全国のレコード店を巡って生きていたい。誰かそれでお金くれる人がいればいいのに。

敢えて一度解禁したストリーミングから撤退すること

こういう判断もありか。

正直、ストリーミングというサービスは、メジャーからマイナーまでありとあらゆる音楽が同一線上に並ぶ形ではありますし、マイナーであってもうまくバズれば一気に認知を上げられるチャンスは、過去の既存メディア頼りの状況よりずっと高いとは思います。
ただ、実際にはCDというパッケージ以上に「知名度の有無」で再生数=収入に大きく差が出てしまうサービスでもあると思っています。

たとえばストリーミングに楽曲を解禁していない大物のうちの1組であるB'z、もちろんどの形態でどれだけの割合の金額を受け取っているのかわかりませんから断言はできませんが、「ultra soul」等の超有名曲の場合、前回のベスト盤のリリースから6年経った今、収録されたCDの新品がどれだけ新たに売れているのかということを想像すれば、恐らくストリーミングに出した方がずっと稼げるのではないかと思います。
「ふと聴きたくなるという人が多い」「プレイリストに乗りやすい」等々、「既に知られている」ことによって得られるゲインはとてつもなく大きいはずです。

The Beatlesの場合では、ダウンロード配信開始がiTunes開始から7年後の2010年。一方ストリーミングで解禁されたのは2015年。Spotifyのアメリカでのサービスインが2011年、Apple Musicは2013年ですから、ストリーミングのリリース判断はダウンロードと比較して格段に早いのですが、ほぼ持ち歌全曲が「既に知られている」彼らの場合、「新たなユーザーがパッケージやアルバムデータを購入する」ことに期待するよりも、ストリーミングならではの聴かれ方に乗る方がビジネスとして得られるところが大きいと早々に判断したと推測できます。

しかし逆にそこまでメジャーでない多くのミュージシャンは、自分たちができる範囲でどれだけプロモーションしたところで、ストリーミングであっても自分たちを元々知っている人以外にはなかなかリーチしにくく、再生数は大物の「既に知られている」曲が何となくストリーミングで聴かれるその総数の足元にも及ばなかったりするわけで。
ストリーミングの再生回数に応じた収益は当然CDの収益に比べたら微々たるものですし、だとしたらこういう判断もありなのではないかなあ、と。

前々から言っている通り、ストリーミング解禁しないということは、ストリーミング・サービスへの課金が音楽にかけるお金の全てという若いリスナーにとっては「存在しない」のと同じです。
もちろんそれは長期的にはミュージシャンにとって、新たなリスナーを獲得するという点において確実に大きなリスクになります。
が、お店と同じで現状の運転資金も厳しいというような状況下で長期的なことだけ考えていたってお腹が膨れるわけでもなく、今日明日の生活すらおぼつかなくなってしまう。
彼らだってニコニコ笑いながらこういう判断をしたわけではなく、相当に苦渋の決断であったことは文面からも伝わってきます。

とりあえず、自分の出している音が正しいと思い、これからも続けようというのであれば、何したっていいのです。カッコ悪くても這いつくばっても、ステージでしゃんと立って鳴らせばいいのです。
実際彼らのことは文字列としての認知しかなかったのですが、こちらは継続するというYouTubeで聴いてみたら、これ結構カッコいいじゃないか。こういうニュースでの出会いだって、あっていい。というか、もっとあれ。

バンド名・グループ名を付けること改名すること

昔から数多のバンドやグループが生まれています。音楽だけでなくお笑いのコンビ名もそうですが、その大半は己を表す名前を付けるわけです。しかしその中には「それってどうなの」と思わざるを得ないも名前もあります。
そう思うものの中でも特に「既存の固有名詞や登録商標をそのまま付けてしまう例」と「あまりにも一般的すぎる名詞をそのまま付けてしまう例」については非常に疑問に思ってしまうのです。


前者の例では2年ほど前、こんな悲しい出来事がありました。
ザ・プーチンズが改名

これは、その改名前のバンド名を付けてパブリックで活動しようと思った理由がそもそもわからない。よりによって世界でも有数の怖い人の名前ですよ。俺こんなバンド名付ける勇気ないよ。そして案の定こうなってしまったという。というか、変えてそれでOKになって今も活動できていること自体がラッキーでしかありません。
[Champagne]が[ALEXANDROS] に改名した事例、乙女フラペチーノがおとといフライデーに改名した事例はいずれも商標に引っかかったものでしたが、この場合命名時にそれが商標だと知らなかったものなので、仕方がないのかもしれません。
しかしこのような名前は、ある程度の層に認知された時点でほぼ確実にこういう事態に巻き込まれます。それは人名であれば先方の活動諸々にも影響を及ぼしかねませんし、商標であればその名前を使用してのビジネスになってしまうので当然です。なので、わかっていてこのような名前を付けて世に出ようということは「売れる」「人気者になる」という将来を全く想定していない、志の低い行動であると言ってしまっても過言ではないのです。

この事例で今も元々の名前のままメジャーで活動できているのはお笑いの「ザブングル」くらいしか思いつかないのですが、彼らの場合はメジャーになる前に本人かスタッフが手土産持って上井草に挨拶に行ったものと思われます。とか言って今の彼らは大変そうで残念です。


後者の例ではこういうことがありました。
つぼみが「つぼみ大革命」に改名、4thシングルにzopp参加を発表

これも改名やむを得ない。「つぼみ」としての活動開始は2010年と早いのですが、ここ数年活動が活発化してきたこともあり、そのために改名したものと思われます。が、これもそもそも何で結成時にこのグループ名でいいと思ったのかがわからない。
2010年といえばもうネットも当たり前。それで「つぼみ」で検索して、一般名詞としてのそれや永世名誉処女的な女優の方を差し置いて、上位に入ることができるとなぜ思えたのかわからない。
今の世の中、検索して出てこないというのは相当に致命的な事態だと思うわけです。この人たちのことを知りたいと思ってくれる世の人がいたとしても、その人たちにリーチしてもらえないということですから。
2017年にデビューした「eyes」というアイドルグループがこの5月に解散したのには、いろいろな理由があるでしょうが、もっとユニークな文字列のグループ名であったらもう少し何とかなっていたかもしれないと思ったり思わなかったり。

こういう名前の検索しやすさで断トツなのはやはりハロプロの各グループ名。およそ完璧なレベルでユニークな文字列。スターダストのグループ名も相当ですが、ハロプロ後追い型で意識してそうしているような気がするのです。
ハロプロはインターネットが広く普及する前からそうですし、もし検索とかネットとか気にしてそうしていたとするなら、初期のアルバムにある丸付き数字付きのタイトルは文字化け等もあり得るので付けることは避けるでしょうから、ハロプロのあのグループ名の数々きっと完全に天然なんですよ。すげえよなハロプロ。

あと、最初に「その大半は己を表す名前を付ける」と、全部付けると断言しなかったのは、声優になる前の平野綾が所属していたアイドルグループが結局CDデビュー後1か月間本当に「ユニット名未定」だったことがあるからです。

The Wedding Present@渋谷o-nestのライブのこと

The Wedding Presentは自分にとって特別なバンドなんです。自分がどんな音楽が好きかというところが確立されていく上で「Bizarro」と「Seamonsters」は相当重要なポジションにあったアルバムで。
ギターといえばカッティングだろうという偏った価値観とか、聴いた音楽を評価するにあたって「張り詰め感」がその軸に入ってきてしまうのははまさにその影響下で。

彼らの初来日は1993年、心斎橋クアトロに観に行って本当に張り詰め切った緊張感におののいたことを覚えています。
ただ、その時には「Bizarro」のハイライトであるところの「Take Me」は演奏されず、「生でTake Me聴きてえなあ」と思ったまま18年、2011年に「Bizarro」再現ライブで来日するよと言われてもうすごい勢いでチケット取って行って、結果もう感動しっぱなしだったのですが、今回また「Bizarro」再現ライブですよと言われて、またもう条件反射的にチケット取るわけですよ。「Take Me」は何度でも生で聴きたいじゃないですか。

確か2011年の再現ライブの時は、前半「Bizarro」以外の曲をやってから後半アルバム完全再現という流れだったのですが、今回は「Bizarro」楽曲の合間にちょいちょい別曲挟みながら進んでいく形。
正直こういう記念ライブですし、そもそも私も彼も随分なおっさんになっているので、初来日の時の張り詰めた空気は期待できないし、実際あれとはもう全く違う。
でもDavid Lewis Gedgeはやっぱり最高の高速カッティングおじさんであり、「Seamonsters」の「Niagara」とか「それ最高じゃないっすか」みたいな選曲ありつつ、やっぱり「Take Me」でもうわけわかんないくらいアガって「Be Honest」でチルって終わるわけです。

過去の音を愛でるのはほどほどにしておこうとは思っているのですが、でも現役でやり続けているバンドが日本までやってきて、当時の音源であっても今できる最強でそれを奏でてくれるのであれば、それはもう全力で受け止めるしかないじゃないですか。
そういう方針でもって、U2のチケットも確保したわけですよ。

自分が聴いたことのある中での「世界三大『張り詰め感』アルバム」は、The Wedding Presentの「Seamonsters」と、エコバニの「Heaven Up Here」とU2の「War」であり、今回来日するU2は「The Joshua Tree」推し公演になるわけですが、でもやっぱり「Sunday Bloody Sunday」を聴きたい。たぶんやらない。

玉光堂とエンターキングの運営企業がダメになったこと

何かイヤな感じのニュースが。

株式会社小樽管財(旧:株式会社玉光堂)
CD・DVDショップ「玉光堂」展開
特別清算開始命令受ける

何か運営企業の流れがものすごくわかりにくいですが、

  1. 2007年に玉光堂が(株)星光堂の傘下に入る
  2. 2018年3月に(株)星光堂が別会社(株)星光堂マーケティングを設立して玉光堂グループの運営業務を移管。
  3. そのまま星光堂マーケティングは星光堂を離れて(株)メディアリンクス傘下に移行。
  4. 2018年6月に(株)メディアリンクスは子会社の(株)玉光堂を設立して玉光堂グループの運営業務を継承。
  5. 2019年1月に(株)玉光堂が(株)小樽管財に商号を変更
  6. 2019年3月に(株)メディアリンクスが改めて(株)玉光堂を名乗る
  7. 2019年6月に(株)小樽管財が特別清算開始命令を受ける

だいたいこんな感じで、現在玉光堂を運営しているのは元(株)メディアリンクスの方の(株)玉光堂なので、今のところ営業はこれまで通り継続しております。
玉光堂の企業サイトがこの春いきなりBtoB企業っぽくなって何だこれはと思ったのですが、これ要するに元々BtoBがメイン業務だった(株)メディアリンクスが玉光堂業務を親会社に吸収してさらに商号を「玉光堂」に変更したためにこうなったということですね。
それでも、本当に経営が順調であればこんなすごい勢いで運営企業を転がすはずもなく、正味「相当ヤバい」と認識せざるを得ません。

ちなみにですが、2011年に玉光堂グループにインしたバンダレコード、元々所沢駅前商店街にあった本店を2014年に畳み、近くのダイエー内の支店を改装して新たな「本店」としたのですが、そのダイエー所沢店、現在のイオン所沢店が9月末に閉店することが決定し、現在本店の行方が非常に微妙。弱り目に祟り目とはまさにこのこと。

で、この玉光堂のニュースは本日出てきたのですが、実は1週間前もう少し地味なのも出ておりまして。

(株)サンセットコーポレイション 民事再生法の適用を申請

千葉県を中心に展開しているエンターキングを運営している企業です。
こちらも店舗は運営を継続していますが、各店舗の具合を見てみるとなかなか厳しい。2019年1月の春日部店の閉店で埼玉県から完全撤収したのですが、現在営業中の15店舗のうち、15日に松戸市の八柱店閉店、28日には東京の小岩店閉店。また閉店日はまだ公開していないものの「閉店セール」と銘打ってすごい割引率のセールをしているのが3店舗。
ZEAL LINKの時にも言いましたけど、「すごい割引率のセール」っていうのは要するに「長期的な損益などどうでもいい、とりあえず当面の経営を転がせるだけの現金が欲しい」という店舗からのメッセージですので、そういうことだったのですが、こうなっちゃいました。

2019年始まった時に「正直2019年の実店舗はこれまで以上にヤバい」と申し上げましたが、けっこうな感じでヤバくなってきております。でも何かもう少し大きな何かがありそうな気もするんですよ。
何となく多くの人の音楽の聴き方とか、聴かない人の聴かなさとかが分水嶺越えたような感覚が最近あって。
もう、ただ淡々と観察するのみ。開店閉店のブログって、正直なところ「看取る」ことが目的だったりするのですが、運営開始して10年、遂に本当にそういうフェイズに入ってきた感があります。
実際そういうところに突っ込んでくると、けっこうそわそわします。

しかし「サンセットコーポレイション」って、何でそんな縁起よくない商号にしたのか。という突っ込みも今こうなっちゃったからできる。

山野楽器本店がCD販売を縮小すること

遂に来たかという感じですが。銀座の山野楽器本店がCD販売を縮小します。

銀座の名物CD売り場縮小へ

楽器店がCDを扱うというのは、蓄音機を楽器店が商材として扱い始めた際に、ソフトの方も一緒に扱ったことに端を発しますが、というか単体のレコード店の発生以前は、洋楽器店がない地方で時計店が製造元から委託されて兼業していた以外は全部そんな感じで、山野楽器はその中でも相当早くから楽器店・蓄音機及びソフトの販売店として銀座の今の位置で商売をしておりました。
ということで、本日その位置に見に行ってきました。

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今回はCD販売をやめるのではなく、縮小です。
ただ、現在だいたい3フロア、しかも銀座の大通りに面した路面に近い1階2階B1階で展開しているCD/DVD販売を4階の1フロア、しかも一部の楽器もそのフロアに入るため、結果1フロア未満ということになりますので、恐らく「ただ縮小」ではないと思っています。もしかしたら多少の売れ線のJ-POPとかは残るかもしれませんが、在庫としては楽器販売とリンクするようなクラシックや器楽曲を中心にしたセレクトショップ的な構成になるのではないかと。
ヤマハで今もまだCDを販売している店がそんな感じで、楽譜と同じフロアだったりするんですが、それに近いところじゃないかと思っています。

もしそうなった場合、銀座のヤマハはそんな感じのクラシック中心ですし、三原橋のミヤコはとっくに閉店して影も形もないし、GINZA SIXの蔦屋書店は日本刀は扱っててもCDは扱ってないし、日比谷のHMV&BOOKSはCD販売の面積超狭いし、要するに銀座・有楽町・日比谷界隈という日本随一の商業地において総合的な品揃えで新譜CDを売る店が消滅するということになります。
何となれば日本橋や東京駅周辺まで見ても、東京駅地下のタワレコはもうないし、丸の内のHMVは速攻撤収したし、残ってるのは大手町の紀伊國屋書店か日本橋の三越内の山野楽器。狭いけど。で、南の方は汐留のTOWERminiまで。

以前、東京23区の「街のレコード屋」の数をカウントしていましたが、ここ数年確認できてない店を「生きている」として今勘定してみたら残り25店。で、チェーンのCD店の数を入れても50店舗程度で、CDも売っている総合書店や電気量販店を入れても80程度。それでもまだ「多い」のかもしれませんが、23区の人口を80で割ったら約12万人であり、そりゃ地方の店舗もなくなるわ。
というか何となくこの「人口12万人に1軒」という規模感、しっくり来た。しっくりきてしまう世の中。

2019年上半期の10枚のこと

2019年上半期の10枚。
これまではiTunesにCD食わせてその中から選んでいたのが、最近はさすがに洋楽はかなりストリーミングで聴く癖がついてきて、そうなると「あれ、どれ聴いたっけ?」的な感じのも出てきて、メディアの違いでいろいろ面倒臭い事態に。
そして前にも言ったけど全くMVを無料の場所には出さないドレスコーズにはこうなってくるとすごい違和感があるし、何となれば未だにショート・ヴァージョンしか出さないバッパーズも。本当にいいアルバムなのに、それが最初からそのグループに興味がある人以外にほとんど伝わらないんですよ。困ったな。

サカナクション / 834.194

吾妻光良 & The Swinging Boppers / Scheduled by the Budget

ドレスコーズ / ジャズ

Hot Chip / A Bath Full of Ecstasy

Beirut / Gallipoli

Vampire Weekend / Father of the Bride

Weezer / Weezer (Black Album)

tipToe. / daydream

フィロソフィーのダンス / エクセルシオール

nuance / town