NHK朝ドラの主題歌のこと

次のNHKの朝ドラの主題歌はスピッツということで。

スピッツ、広瀬すず主演朝ドラ「なつぞら」に「冬っぽい仕上がり」の主題歌提供

ここんとこの朝ドラの主題歌はやたら大物ばっかだなと思いつつ、でも初めてJ-POPに属するミュージシャンが朝ドラの主題歌を担当したのは1992年のドリカムでありまして、最初から大物じゃねえか。
じゃあその間はどうなっていたのかが気になったので、ざっくりと挙げてみました。( )が付いてるのは歌物の主題歌がなかったもので、音楽監督のお名前を入れてます。
行の末尾はレーベルとオリコンの最高順位。

1992後 ひらり DREAMS COME TRUE/
晴れたらいいね
EPIC(1)
1993前 ええにょぼ 中山美穂/幸せになるために KING(4)
1993後 かりん 井上陽水/カナディアン アコーデオン FL(35)
1994前 ぴあの 純名里沙 & JOE'S PROJECT/ぴあの LDC(48)
1994後
1995前
春よ、来い 松任谷由実/春よ、来い EMI(1)
1995後 走らんか! Dual Dream/I Say Hello KING(44)
1996前 ひまわり 山下達郎/DREAMING GIRL EW(25)
1996後 ふたりっ子 NOKKO/Natural SONY(27)
1997前 あぐり (岩代太郎)  
1997後 甘辛しゃん 原由子/涙の天使に微笑みを VIC(16)
1998前 天うらら (小六禮次郎)  
1998後 やんちゃくれ ウルフルズ/あそぼう EMI(21)
1999前 すずらん (服部隆之)  
1999後 あすか (大島ミチル)  
2000前 私の青空 (本間勇輔)  
2000後 オードリー 倉木麻衣/Reach for the sky GIZA(3)
2001前 ちゅらさん Kiroro/Best Friend VIC(5)
2001後 ほんまもん (千住明)  
2002前 さくら (小六禮次郎)  
2002後 まんてん 元ちとせ/この街 EPIC(7)
2003前 こころ (吉俣良)  
2003後 てるてる家族 RYTHEM/ブルースカイ・ブルー SONY(94)
2004前 天花 MISIA/名前のない空を見上げて AVEX(9)
2004後 わかば 福山雅治/泣いたりしないで UNIV(1)
2005前 ファイト (榊原大)  
2005後 風のハルカ 森山直太朗/風花 UNIV(10)
2006前 純情きらり (大島ミチル)  
2006後 芋たこなんきん FAYRAY/ひとりよりふたり R&C(79)
2007前 どんど晴れ 小田和正/ダイジョウブ BMG(6)
2007後 ちりとてちん 佐橋俊彦(演奏:松下奈緒)  
2008前 (山下康介)  
2008後 だんだん 竹内まりや/縁(えにし)の糸 WM(12)
2009前 つばさ アンジェラ・アキ/愛の季節 EPIC(7)
2009後 ウェルかめ aiko/あの子の夢 PC(album)
2010前 ゲゲゲの女房 いきものがかり/ありがとう EPIC(2)
2010後 てっぱん (葉加瀬太郎)  
2011前 おひさま 平原綾香/おひさま~大切なあなたへ(土曜のみ) DM(44)
2011後 カーネーション 椎名林檎/カーネーション EMI(5)
2012前 梅ちゃん先生 SMAP/さかさまの空 VIC(1)
2012後 純と愛 HY/いちばん近くに 東屋(Album)
2013前 あまちゃん (大友良英)  
2013後 ごちそうさん ゆず/雨のち晴レルヤ SENHA(3)
2014前 花子とアン 絢香/にじいろ AstA(8)
2014後 マッサン 中島みゆき/麦の唄 YAMAHA(5)
2015前 まれ (澤野弘之)  
2015後 あさが来た AKB48/365日の紙飛行機 KING(C/W)
2016前 とと姉ちゃん 宇多田ヒカル/花束を君に Virgin(配)
2016後 べっぴんさん Mr.Children/ヒカリノアトリエ TOYS(1)
2017前 ひよっこ 桑田佳祐/若い広場 VIC(Album)
2017後 わろてんか 松たか子/明日はどこから Aliora(35)
2018前 半分、青い。 星野源/アイデア VIC(1)
2018後 まんぷく DREAMS COME TRUE/
あなたとトゥラッタッタ♪
UNIV(9)
2019前 なつぞら スピッツ/優しいあの子 UNIV(-)

何となく流れが見えてきます。
最初の数年は民放にタメ張ろうと大物を頑張って連れてきたものの、まだこの頃は民放のドラマに提供した方がプロモーション効果が圧倒的に高かったため、徐々に息切れ。
2000年代に超大物と呼べるのは、20個の枠の中で福山雅治・竹内まりや(追記:小田和正)くらいで、他はもっと売りたいのとか新進気鋭な感じのとかばかりで。というか無理に主題歌としてJ-POPをぶっ込もうとしないことも結構あって。

大物のみっちり感が復活するのは2010年以降。
これどういうことかと考えてみると、この頃には民放のゴールデン帯のドラマが揃ってシオシオになり、視聴率も取れないし主題歌に押し込んだところでさしてセールスも上がらなくなってしまっていて。
結局全日で最も安定して視聴率が高いドラマはゴールデンよりも朝ドラということになってしまい、かつその視聴者のメインはかつてCDバブル期に8cmCDをわさわさ買っていた主婦層。さらに「ゲゲゲの女房」や「あまちゃん」のように、通常の朝ドラ視聴者層の枠を超えてより広い層に話題になることも。
一番いい場所に一番いいお客さんが集まっていて、確変の可能性もある。そりゃこうなります。

で、スピッツは朝ドラ主題歌初めてで、というか今流れてるドリカムが初めての複数回起用という状態なので、今後も制作側は「初」を狙ってくるんじゃないかと。紅白のためにもいろんなところに恩を売っておきたいです。
それでは「超大物」でまだ朝ドラ主題歌やってないのどれくらいいるのだろうかと「CDの累計売上ランキング」みたいな資料を確認すると、1位はB'zなんですが、さすがにB'zは朝からだと濃すぎる。長渕とか永ちゃんも朝は駄目だ。
そんな感じで、2019後半以降の主題歌担当を予想してみます。

本命:小田和正
むしろ今までやってなかったんだ、という気持ち。先日BSでドキュメントが放映されたのはここへの伏線と考えると合点がいく。俺は。

対抗:嵐
朝ドラは総じてジャニ色弱めですが、主題歌はSMAPの例もありますのであり得なくはない。活動休止までに一般訴求度の高い曲をもう一発ほしいところです。

大穴:松田聖子
最近は作詞作曲もほぼ自分でやっちゃう方なのですが、ここで一発松本隆が出てきたりすると、俺は泣く。

大穴:日向坂46
グループとしての色はそういう「朝ドラ」的なところにマッチすると思うので、秋元先生が激しく動けば無理ではない、ような気もする。激しく動けば。先生還暦になっちゃったけど。

<修正>
と書いた途端に小田和正は2007年に主題歌提供していた旨ご指摘いただきました。ありがとうございます。
表の方は既に修正しています。「どんど晴れ」の主題歌「ダイジョウブ」です。
じゃあ、本命は平井堅で。

チーナフィルハーモニックオーケストラ@武蔵野公会堂のライブのこと

2月16日はチーナフィルハーモニックオーケストラ@武蔵野公会堂。

説明しますと、元々チーナという5人編成のバンドがいます。
・Piano & Vo
・Guitar
・Drums
・Violin
・Contrabass

という、ポピュラーソングを奏でるバンドとしては相当頭のおかしい編成なのですが、それがチーナフィルハーモニックオーケストラになるとさらに

・Tenor Saxophone
・Alto Saxophone
・Trumpet
・Violin
・Violin
・Cello/Electric Bass
・Bottun Accordion
・Steel Pan
・Herp
・Percussion

上記10人が追加されて15人編成になるという異常事態。大編成バンド大好き人間としてはもうこれ絶対外せない。
しかも会場が吉祥寺駅南口からすぐの武蔵野公会堂。350人収容ながらがっちりと座席ありのホール。これがまたそういう編成のライブにぴったり合って大変にいい塩梅。
そのレベルのキャパで15人編成が楽器並べて、しかも管楽器で多いなら詰められるんですが、弦が多い場合は弓が隣の人突っ付いたりするのでそれなりの一人当たりスペースが必要であり、そのレベルの舞台の広さと観客の収容人数を考えた場合、正味ここ以外に会場はないんじゃないかと思います。

内容はおよそ完璧。フロントの椎名さんがご懐妊で当面これ以降ライブがないという事情もありますし、そもそも「フィル」の単独ライブも滅多にない機会。なかなかにスペシャル感のある流れ。
二部構成で、一部はまず15人で曲をやり倒す。もう最高。そして二部はまず弦の4人だけで演奏。素晴らしいと思ったら次は「Bottun Accordion」「Steel Pan」「Herp」「Drums」の4人編成。たぶんこんな楽器編成によるカルテットでの演奏、この先一生観られない。
そしてブラスメインの編成での演奏を経て改めて15人編成。
アンコールでは一旦5人編成のチーナによる演奏が入った後、最後に15人で演奏しての終了。もう満足。

特にこのバンドは、Violinが3人いることが圧倒的な強み。時にはユニゾンで弾き倒してすごい高揚感、時には三者三様の繊細な演奏で心に来る。
音楽の素晴らしさを堪能した夜でした。

写真撮影可だったので撮ったのですが、要するにステージ上、こういう密度だったわけです。

f:id:wasteofpops:20190218003734j:plain

通常音楽ではあまり使わないホールですので、久々に床置きのスピーカーからの音でした。
さすがに分離はイマイチだったのですが、これはこれでいい音。アナログ感ありました。というかこの箱、年間でこういうライブいくつあるのでしょうか。絶対ここでやれるのであればやった方がいい。
何よりも座って観られるので、おっさんは快適。

RIZAPの新星堂への態度が鬼ではないかもしれないこと

で、新星堂なんですけど、閉店や閉店予定はこれもんですので、見た目絶望しかないのですが、少なくとも親会社RIZAPが今の段階では「全部潰したるで」という鬼のような気持ちにはまだなっていないことがわかったので、少しだけホッとしています。

【福山店】仮店舗営業のご案内

新星堂に限らず、その店舗の都合での閉店ではなく、テナントとして入っていた商業施設が閉館するためにやむなく閉店というパターンもあります。最近の新星堂でも、横須賀の店舗はショッパーズプラザという元ダイエー現イオンのショッピングモールごと吹っ飛びます。

福山店も、テナントとして入店していたイトーヨーカドー福山店の完全閉店によって吹っ飛ぶものと思っていたのですが、隣の天満屋に仮店舗を設置して延命決定。
イトーヨーカドー福山店と天満屋福山ポートプラザ店は「ポートプラザ日化」というショッピングモールの二大メインテナントという形で並んで建っていたために、このような移転も可能だったというラッキーはあったわけですが、それでもRIZAPが「全部潰したるで」という気持ちでいるのなら、イトーヨーカドーの閉店に合わせてこれ幸いとばかりに潰しているはずで、そうしないということはまだ新星堂という業態に幾分でも希望を持っているということではないかと。

とはいえ移転先は小さな催事場スペース。既にもうすぐ契約終了のテナントがあってそこが空くまでの待ち状態であればいいのですが、そうでなければその小さなスペースで結果出さなければアウト、かもしれません。
結果として、「やっぱRIZAPただの鬼だったわ」ということになるのかもしれませんが、それは新星堂と世の中のせいだ。

「初武道館」のミュージシャンのこと

最近ちょいちょいミュージシャンの日本武道館単独公演のニュースを聞いて「え?もう武道館埋められるの?」と思うことが増えました。
実際どんなもんかと思って、2016年以降での「初武道館」公演を果たした日本のミュージシャンを並べてみました。

2016/01/03 アルスマグナ
2016/01/04 SHISHAMO
2016/01/07 Fear, and Loathing in Las Vegas
2016/01/16/17 小野大輔
2016/03/12 ゆいかおり
2016/03/30-31 ゲスの極み乙女。
2016/06/09 GENERATIONS from EXILE TRIBE
2016/07/22 相対性理論
2016/08/13 内田彩
2016/08/25 Buono!
2016/10/04-05 大原櫻子
2016/10/09 BLUE ENCOUNT
2016/10/11 Galileo Galilei
2016/10/27 三森すずこ
2016/11/4-5 藍井エイル
2016/11/07 Juice=Juice
2016/11/08 アップアップガールズ(仮)
2016/11/18 MY FIRST STORY
2016/11/25 i☆Ris
2016/11/27 EGO-WRAPPIN'
   
2017/01/07 BOYS AND MEN
2017/01/08 Little Glee Monster
2017/01/17 Da-iCE
2017/02/10 ClariS
2017/02/11 04 Limited Sazabys
2017/02/14 Versailles
2017/03/01 The Collectors
2017/03/04 angela
2017/03/06 ピコ太郎
2017/03/08 水曜日のカンパネラ
2017/04/30 家入レオ
2017/05/02-03 SKY-HI
2017/05/07 BugLug
2017/06/09 Theピーズ
2017/06/14 超特急
2017/06/16 THE ORAL CIGARETTES
2017/08/08-09 After the Rain
2017/08/21 Poppin’Party
2017/08/29 Aimer
2017/09/02 SuG
2017/10/15 BIGMAMA
2017/10/20 有安杏果
2017/11/27 RED SPIDER
2017/12/02 Pile
   
2018/01/30-02/01 けやき坂46
2018/02/03 東山奈央
2018/03/11 打首獄門同好会
2018/03/16 CHiCO with HoneyWorks
2018/03/30-31 My Hair is Bad
2018/04/01 Shuta Sueyoshi
2018/04/30 SUPER BEAVER
2018/05/12 GLIM SPANKY
2018/06/29-07/01 sumika
2018/07/09 鈴木愛理
2018/07/20 Tokyo 7th シスターズ
2018/07/30-31 浦島坂田船
2018/08/23 天月-あまつき-
2018/09/24 まねきケチャ
2018/10/03 ROTTENGRAFFTY
2018/10/07 Nothing's Carved In Stone
2018/11/02 Nulbarich
2018/11/12 DOBERMAN INFINITY
2018/11/13 BAD HOP
2018/11/16 amazarashi
2018/12/22 竹原ピストル
   
2019/01/01 内田真礼
2019/01/11 般若
2019/02/18 あいみょん

うん、数組知らない人がいた。
ベテランが遂に開催とか、グループとしてはもっと大きなところでやってるけれどソロ活動としては初めてとかもあるのですが、伸び盛りのミュージシャンがメインではあります。
ジャンルとしては普通のバンド系が多いと言えば多いですが、他にもアイドル、V系、ヒップホップ、アニソン、声優、「歌い手」系。入り乱れてます。

そして、有名グループのソロ活動の人とLDH系のグループとアイドルの一部以外は、正味テレビでよく見かけるような人はいません。
逆に言えば、もう既存メディアの力を使わなくてもここまで行けるんですよ、ということでもあります。

活動としても、別にもうCD売らないと干上がるような収益構造ではないので、ここまで来れれば当然ビジネスとしては回っています。
既存メディアに打って出て、大々的にプロモーションを回す等、ある意味リスクにもなり得るアクションを起こしてまでこれ以上大きくなる必要もない、という判断もできます。

前々から言っている通り、リスナーの社会属性や自分が属していると考えているコミュニティによって、ほとんどの場合聴く音楽のジャンルは限定される世の中ですので、そういうコミュニティに属している人相手に音楽を商売にしている人が、そのコミュニティを越えてアピールすること自体に相当な困難とリスクが伴うようになっていると思います。
そこまでしようとするのは、元からそのレベルのビジネスを目指している人と、ここまで来れたことで相当に野心的になっちゃった人の他には、本当にうっかり当たっちゃった人だけなわけで、そりゃ新しい国民的スターは簡単に出てくるはずがない。
みんながそれぞれ箱の中で、箱の中のスターを愛でる時代です。そこにはいいとか悪いとかはもうないのです。それでも、時々でも箱の外を眺めると面白いもの見つかるかもよ、とは思いますけど。

自分がもしミュージシャンだとしたら、ちょっと売れて「武道館公演やります!」と言って足立区綾瀬の東京武道館でライブをやるのが夢です。でもそう思って調べたら、住宅地の真ん中なので音楽イベントできないようで速攻で夢破れました。

<追記 02/13>
一覧を修正しました。ご指摘ありがとうございます。

YouTubeが始めた新しいサービスのこと。

欅坂46の「黒い羊」のMVが編集なしのワンカメでエライことになっているのですが、公式サイトの動画のページを見てみるとこれまでのMVと今回の微妙な差異があります。過去のMVは全てYouTubeのフォーマット上で公開されているのですが、「黒い羊」は少なくとも今のところYouTubeにはアップされておらず、公式サイトに埋め込みの形でのみ公開。
それについて友人とちょっとグループチャットで話をしていました。これは多分YouTube Premiumのせいだなということで。

昨年11月にサービスインしたYouTube MusicとYouTube Premiumですが、他のサブスクサービスと大きく異なる点があります。その取扱い範囲に既存YouTubeの資産が含まれていること。
YouTube Musicの無料版をDLしてみたのですが、ミュージシャンの名前で検索すると、サブスクで利用可能な楽曲と共にYouTube上にアップされているMV、ライブ映像が画面上にラインアップされ、それも音源同様に聴くことが可能です。
データ容量を減らすための配慮でしょう、YouTube Music Premiumにすれば音声のみで再生するモードも利用可能。つうか無料版にこれ見よがしに音声モードのスイッチが付いていて、触ると「Music Premiumにすれば使えます!」みたいなメッセージが出てくるという酷いがビジネスとしては正しい仕様。

そして、YouTube Premiumで可能になるのがオフライン再生。他のサブスクサービスにもある機能ですが、「取扱い範囲に既存YouTubeの資産が含まれている」ことで他のサービスと圧倒的に差別化されることになります。
サブスクどころか配信も行っていない音源でも、シングル曲等でフルVer.がYouTube上で公開されていれば、実質上月額定額でダウンロードできる、他のサブスクサービスの提供楽曲と同様に扱える、ということになります。

これらのサービスはアメリカでは昨年5月から提供されていたものですが、日本では半年遅れたのは恐らくレーベル等ステークホルダーとのいろいろがあったからと思うのですが、他のサブスクほどの時間的な間は空かずに出てきました。
言うても動画再生についてはYouTubeが圧倒的なプラットフォーマーですから、「気に入らんなら、うち使わんかったらええやん」の一言でだいたいの人は黙らざるを得ません。

実際、日本ではsumikaがYouTube Music・YouTube Premiumリリース直後、「音声として聴かれるにあたってどうなのか」という観点ということで、一時的にYouTube上のMVを全て非公開にしていましたが、結局1月中旬にそのまま公開再開しています。
sumikaは、配信・サブスクについては「一部のみ」解禁という微妙なところでありまして、実際のところどういう意図でどういう判断をしたのかはわかりませんが、結果としては完全にYouTubeの意に沿った形に。

対して欅坂46は、既に「アンビバレント」まではサブスクまでは解禁されていますが、新曲はそういう状態。
考えてみれば「黒い羊」のリリース日は2/27で、MVはそれに先駆けての公開。でもそのMVの音源データが自由にダウンロードできてオフラインで取り回せるのであればそれは既にリリースしたのと同じということになってしまいます。
YouTubeにアップしないのは、それはちょっといくら何でもないやろ、ということだと思います。
実際本当にそういう意図なのかは、リリース日の段階でMVがYouTubeにアップされるかどうかでわかりますので待ちましょう。

ただ、本当にそういうことなので、欅坂46以外にもリリース日前にはYouTubeにはアップしない人がいそうな気がします。

しかしGoogleは既にサブスクサービス持ってるのに何でまたこれ出してきたんかというところですが、圧倒的なプラットフォーマーであるところをバックにして相当黒い意志というか、その他ステークホルダーを黙らせられると考えた結果ではないのか、というところも容易に想像できてしまって本当にあいつらズルい。

Beirut「Gallipoli」のこと

Beirut / Gallipoli (Album)

強くなって戻ってきた音楽。
BeirutはZach Condon氏のソロ・プロジェクトですが、2005年の活動開始以降、インディーズ的な音楽にワールド・ミュージックを組み合わせるという方法論でもって音楽を制作してきたわけです。
2006年の1stアルバムは、その発想は面白いし意志も感じさせる良盤ではあったのですが、ワールド・ミュージックの色が濃すぎて両手を挙げて大喜びするレベルにまでは至っていませんでした。
そして、そこから彼の試行錯誤が始まります。時には1枚はごっつい民族音楽に寄せ、1枚はごっつい電子音楽に寄せた2枚組のEP集をリリースしたり、様々な手法を試した結果、2011年のアルバム「The Rip Tide」で、民族的な要素を多分に含んだポップミュージックというあたりに居場所を定めて、それはそれは素晴らしい完成度の世界を示すに至ります。
2015年にはさらにポップスに寄せた「No No No」をリリース、絶対にただのエイトビートにはしないぞという強い意志は感じるのですが、もう少しそっち方向先に行ってしまうと、「少し変わってるけど普通のポップス」というところまで来ていました。

そういう状況下でさらに4年たっての今作。
多分音の塩梅、バランスとしては近作よりはむしろ1stアルバムに近い。ワールド・ミュージック感バリバリです。ただ、近作でポップミュージック的なところを鍛えまくってからの帰還ですので、もう音の強度は全然違う。
ポップスとしてのベースをがっちり押さえているからすごく聴きやすい、でも聴いた感触としては「僕が考えた最新の世界民謡集」みたいな謎の趣き。正味ものすごく面白い。

2012年の来日公演は、本当に祝祭のような素晴らしいライブだったので、また来てくれると嬉しい。
ただ、あのライブは異様に外国人比率が高く、その結果フロアの平均身長も著しく高くなり、あんまりステージを直接見られなかったので、小さい外国人の人がたくさんファンになってくれると嬉しいです。

経営破綻したUKのHMVに買い手が付いたこと

HMV sold to Canadian record store chain Sunrise Records, but many shops set to close

先輩からDMで飛んできたので。
HMVは2013年の1月に一度経営が破綻、投資会社ヒルコ・キャピタルに拾われて約240あった店舗数がおよそ半減するものの生き延びましたが、昨年末に2度目の行き詰まり。
もはやこれまでかと思っていたところ、拾ってくれる会社が奇跡的に現れました。

拾ったのはカナダで約80店舗のCDショップを展開するSunrise Records。恐らく現状では世界でも最多クラスの店舗網を持つCDショップチェーンです。それがいきなり自前の店舗数以上の店舗を引き取ることになりますが、これ以上の店舗数を持つCD専売のショップって確か、その破綻したHMVと、あとは新星堂しかないんですよ、世界で。そして新星堂は現在面白いくらい死に体で他のことなんて気にかけている場合じゃないので、もう仕方ない。止むを得ない。
とはいえ、まだパッケージが強い日本でこんな状況下、カナダでこれだけの店舗網をキープできていることは相当にうまく経営していると思いますし、そのノウハウを英HMVにも当てはめることができる、という判断ではないでしょうか。

それでも、ただ全店舗引き受けるのではなくまた相当数の支店を整理したうえで、ということで、128店舗のうち27店舗の閉鎖が既に確定。閉店する店舗の中には旗艦店のロンドン、オックスフォード・ストリートの店舗も含まれます。
言ったら、ローソンが引き取る前の一番ヤバい時期の日本HMVが渋谷や横浜の店を閉めたレベルの激震のような感じですが、現在のUKでその時の日本くらいの激震になるかどうかはわかりません。
渋谷も激震言うてたの俺らみたいなのばっかだったけど。

そして、これでダメだったらカナダのSunrise Recordsのチェーンごと一蓮托生になってしまう気がして、実は大変に恐ろしい。

amiinA@赤坂BLITZのライブのこと

2月1日はamiinAの2回目のワンマンライブ@赤坂BLITZ。絶対マイナビって言わない。
前回ワンマンからキャパは倍増、果たしてギリギリまで様々なアイドルグループに動画に出てもらったり各所で宣伝を行ったものの、会場入りしたら後ろの方の一段高くなっているところは全部関係者ゾーン化されている状態。1000人ちょいくらいでしょうか。

残念ではあるのですが、それでもライブは一切手抜きなし、というか前回に続いて途轍もなく作り込まれたセット。本棚の一角を模した白いセットにプロジェクションマッピングで様々な映像を映し出す形。前回はオケ全部再録音ということでビビりましたが、今回は後ろが大きめのスクリーン状態ですので、ほぼ全編映像撮り下ろし状態。それはそれでとんでもない。

で、前回は完全にステージ上を2人だけの世界にしていたので、今回はその揺り戻し来るだろうなと思っていたら案の定。楽曲を提供しているNetworks、Serph、THE CHERRY COKE$が登場し、まず自らの楽曲を披露し、そして提供曲をバックで演奏するという流れ。スクリーンがステージ後方を隠す役割も担っていて、閉じている間にセット転換し、半分開いたらそこに次の生披露用のセットが出てくるというなかなか凝った感じで。
さらに以前コラボした校庭カメラガールドライが出て来たり、amiちゃんはSerphさんのDJプレイに一緒に出てきてエフェクトのつまみをいじり倒したり、miyuちゃんはピアノの弾き語りをしたり、まあいろいろてんこ盛りで。

楽曲は間違いないし、2人のパフォーマンスも間違いないのですが、そういう状況のため多少流れが悪かったのと、SerphさんのDJプレイというのが、この日会場で先行発売されたリミックスアルバムの楽曲を披露する場という形になったですが、正味それがすごく冗長。プロモーション的に聴かせたい気持ちはわかるのですが、本編にそういうCM入れちゃダメ。

そういう難点ありつつも、でもやっぱり楽曲の力とパフォーマンスの力は素晴らしく、今のアイドル界隈で自分にとって最も愛すべきグループであることについては微塵も揺らぐ気配ないわけであります。

で、今回特典付きのチケット取って届いてみたら整理番号1ケタの激良番でありまして、それでも最前を目指すほど元気ではないので、入場後速攻で特典受け取り、会場先行発売のCDを買い、ドリンクチケット交換し、それからフロアに入場してそれでも自分的には抜群のポジションを押さえ、やっぱ並ばずに済むって最高だな。
ただ、仕事していたら呼び出しの時間に遅れそうなので、この日は半休を取ってガチで万難を排して開場時間には赤坂に着くようにしました。立派なオタクになれたと思います。

音楽・映像の「所有」と「使用」のこと

新井浩文容疑者の逮捕に業界パニック 映画2本お蔵入りも

大変なことになっていますが、今のところAmazon Primeやhulu、Netflix等で過去の彼の出演作品まで止まったということはないようです。事件の内容的に「愛の渦」とかヤバいっちゃヤバいんですが、このせいでこの作品の門脇麦さんが観られなくなるとなったらそれはやるせない。
ただ、これ各社がそう判断すればいつでも視聴停止することができるという点が、過去のメディアとの最大の差だと思うわけです。

DVDを購入した場合、その後どんなことがあって販売中止になろうとも、今所有している盤を誰かが取り返しに来るようなことはありません。自分は、DVDは廃版以外の理由で入手できなくなったものは所有していませんが、CDでは、コーランを無断使用してイスラム団体から怒られて修正になった曲が入っているBUCK-TICKのアルバム「Six/Nine」初回盤とか、中島みゆきのパクりの件で販売停止になって以来、その該当曲以外のアルバム収録曲も、のちにリリースされたベストアルバムに一部が収録された以外封印されてしまったHighway61のアルバムが今も家にあったりします。
怒られたヴァージョンもパクった曲も今も聴き放題です。

が、サブスクで聴きがちな昨今、制作者や配給者が何らかの意図でもって公開を停止すれば、それはもう未来永劫聴くことができなくなってしまいます。
私も随分サブスクに流れるようになりましたが、「これぞ」と思う盤は確実にCDで入手しようと思うのは、そういうところが引っかかるからでもあります。

そもそもCDやDVDは「所有」するものではありますが、レコード会社・映画会社としてはCDやDVDは「使用権」を売っているだけで、その音楽や映画の所有権を移転するものではない、という体です。
だから購入した個人が勝手に複製して配布したり公衆に向けてアップロードすると容赦なく捕まりますが、それ未満の個人的な複製等は、家庭にステレオ・カセットデッキが普及して以降激増したものの、さすがに取り締まられることもなく、グレーゾーンとして黙認されてきたわけです。
レコード会社の方が「買ったCDを車で聴きたいのであればコピーするのではなく車用にもう1枚CDを買うのが筋」みたいなことを書いていたのを読んだ時には、さすがにそれはどうなの、と思いましたが、その立場としては厳密に言えばそういうことだったわけです。

それが、サブスクリプションがメインになり、有形のメディアを介さなくなり、かつデータとしてローカルに保存することもなくなったことで、ようやく「体」ではなく実際に所有と使用との間のブレがなくなり、純粋に「『使用権』を売っているだけ」の状態が実現したのが今、ということになります。
だから本当は今の状況って制作・配給側からすれば願ったり叶ったりの状態なはずなのに、特に音楽側の人はあんまりいい顔していなくて、いまだにサブスク解禁しないミュージシャンも多数いるのはどうしたことだ、という話です。

いや、わかってるんですけど。そもそも欧米から来てしまったスタイルに抗いきれなくなったことが流れとしてはありますが、「聴き放題」型ではなく1曲1曲にストリーミングを課金によって許可するような形では、YouTubeやテレビ・ラジオで流されるのと同等のブツを有料にするということになりますので、恐らくそれやったら商売になってなかったと思います。

こういう世の中になった結果、受け手側は定額で聴き放題観放題というメリットを得た代わりに「視聴できなくなるかもしれない」リスクを負い、送り手側は制作した著作物の権利を思い通りにコントロールできるようになった代わりに盤のような率の高い利益を得られなくなったということですね、という、書きたいこと適当に書いた後に取って付けたようなまとめをして終わり。

2018年の音楽ソフト生産金額が増えたこと

2018年音楽ソフト生産金額104%、3年ぶりプラスに転じる

これ、音楽産業全体の金額ではないです。音楽ソフト、つまりパッケージだけの話です。
今の世の中で何がどうなったらこんなことが起こりえるのか、ちょっとわからなかったんですけど、CDは普通に減っていて映像の方が「激増」していることで理解しました。
これざっくり言えば「安室特需」ですね。

2017年は前年比で減少したものの、CDが97%と微減レベルで済んでいたのは「Finally」があったためなのは間違いないのですが、今年は映像の方でプラスにまで押し上げたということで。

ここ数年、音楽系DVDは年間トップでも50万枚越えることはなくなっていたのですが、昨年は「Finally」のライブDVDが100万枚近く売れまして、しかも通常のそういうDVDよりも単価高めでそれでしたので、結果として数量115%増、金額142%増ということになりました。
もちろん前年の数字にそれ足しただけではこの伸び率にはならないんですけど、その購入のための店舗への吸引力が他に与えた効果もあったでしょう。

DVDの年間チャートは20位までしか出ず、それも20位になると5万枚くらいになっちゃうんですけど、その20位の下に安室ちゃんの過去のDVDが何作品も一昨年前まで以上に動いていることは間違いないでしょうし、久しぶりに来たCDショップで何かうっかり他にも買った、みたいな人もたくさんいると思います。
そういうことの総量としてのこの数値、だと思っています。

でもこれで確変は終わり、今年からガッツリ減っていきまっせという締めにしようと思っていたところに嵐の活動休止の件。新たなビッグビジネスの発生決定です。
エンディングに向かってどういうビジネスを仕込んでくるかはこれからですが、通常状態で活動終了発表前の安室ちゃんをはるかに上回る売上をキープしていて、そこに更に上乗せしていくわけですし、SMAPがとてもお祭りにできるような空気ではない中での活動終了でしたっていうか、過去のジャニーズのグループはだいたいシオシオになって解散するばかりでしたので、ここは大変に力を込めたジャニーズらしい仕込み方をしてくるのではないかと思います。

ということで日本は、下手すると2020年までCD/DVDのパッケージ売上があんまり下がらないという、他の世界の国々の動向と恐ろしいくらい乖離した謎の国になるのかもしれません。
つうかタワーレコード3月に普通の新店舗復活オープンしますし。恐ろしい。でも悪くない。

あとは、BOOKOFFとかその他中古盤屋に行って見ると本当に面白いくらいQUEENが品薄になっているので、映画きっかけで洋楽に入って来たり戻って来たりした人が、できるだけ離れないでいてほしいなあと思います。
書店でデアゴスティーニ買ってる場合じゃないんですよ。でも、自分はもうすぐ出る「Innuendo」2枚組は買います。1991年リリースのため世に出ているアナログ盤の数が相当少なく、えれえ高いので。そういうの欲しくなるのはよくない癖だ。わかってるんだけど、そうやってもう何十年も生きてきてしまった。