CD界隈の2018年10大ニュースのこと

CD/レコード小売・レンタル界隈の2018年10大ニュース。

01.星光堂がCD/DVD卸をやめる

今年に入ってすぐに入ってきた件。当時大騒ぎしていましたが、直接的な影響は直後の数店舗だけのようにも見えますが、特に個人店舗に対してはボディブローのように効いてくる件でもありまして。
個人店舗の中には、新譜をきちんと揃えるのは相当にしんどくなっているところも増えていまして、もう演歌と相当な有名どころの一部以外新譜置いてないよ、という店舗も珍しくない。
そういう状況は店の主人が老いてきてもう新しいのさっぱりわからなくなってるからというのもありますが、本来店主の知識の弱いところを補う役割でもあった卸企業の提案力が弱くなっているというのもあるんじゃないかと思ったり。


02.WonderGOO・新星堂がRIZAP傘下に入り、いきなりいらない子扱いに

これはつい最近騒いでた件ですが、前回以降さらに新星堂2店舗位の閉店決定、WonderGOOも1店舗追加で閉店の噂あり、本当だとすると来年1月だけで新星堂・WonderGOO合わせて8店舗を閉じることに。
どうやらRIZAP、改めて売却する方針のようで、そのために少しでも赤字幅をスリム化しようということかもしれませんが、いったいこんなんどこの会社が買うのか。そして「こんなん」と言わなければいけない悲しさ。


03.TSUTAYA、更に本気でレンタルをぶった切る

去年のこの記事以降、執筆依頼が来たりラジオ出演依頼が来たり、自分の中で「TSUTAYAバブル」と呼んだ時期があったのですが、実は今年は去年に輪をかけて閉店しています。2017年が70店舗規模だったのが今年は既に90店舗以上逝ってます。
何店舗か新規開店もありましたが、相当数がCD/DVDを販売もレンタルも扱わない「TSUTAYA BOOKSTORE」名義の純粋な書店だったりします。
東京近郊の住宅地域の店舗や途中駅の駅前の店舗が閉じるのであれば、「都会のでかい店行けや」というサインと捉えることもできましたし、実際昨年はそういう風に読んでいたのですが、今年は新宿店が全く別の業態として再開したり、梅田堂山店が閉店したり、都会ど真ん中の店が消えていますので、「不採算店の整理」という側面だけでは語れないレベルの動きになっています。


04.ジャニス閉店

神保町の変態レンタル店が遂に召されました。ビルから路面に移転した時点でやべえと思っていたのですが、やべえと思ってから閉まるまでがあんまり早くて正直驚きました。
この店が無くなったことは、単に有名レンタル店の閉店という意味だけでなく、国内最大級のアーカイブの散逸という意味で大変な損失ではないかと思っています。それでも、閉店セールで散逸に私も手を貸したわけですが。


05.新宿ディスクユニオンの大再編

昨今の音楽関連の小売業で唯一まだ「攻め」を感じるのがユニオン。新宿東口のROCK INNが入っていた建物を一棟借り上げで、ダンスミュージックとジャズ関連を各1フロアにまとめ、最近の状況に合わせてアナログ中心の総合ジャンルショップを路面に持ってきました。
正味、特にダンスミュージックとジャズについては、1フロアにまとめた分品揃えがよろしくなくなった部分もあり、あんまりいい評判聞こえてこないことは事実なのですが、それでもまだまだやるぜという気合は十分に感じます。


06.BOOKOFF 渋谷店閉店

7月、渋谷CLUB QUATTROの下の3フロアを占めていたBOOKOFFがなくなってしまいました。そもそも様々な硬派めの店が入っていたQUATTRO by PARCOからBOOKOFFになった時にも非常に時代を感じたのですが、これはこれで時代がもう一回りした気持ちに。
12月時点でまだ新たにテナントが入居する気配ないですが、既にこれだけの床面積を埋められるチェーン系の店は渋谷の他のどこかに入っていますし、正味これだけの規模にフィットする業態、なかなかないんじゃないかとおも思います。
それでも、CLUB QUATTROに行くとき、エレベーターと階段しかないのダルいので、何とかしてほしい。


07.ヴィレッジヴァンガード、路面店粛清へ

かつてはイケイケだったヴィレヴァンもここ数年あまり具合よくなく、開店よりも圧倒的に閉店の方が多い感じになってはいたのですが、今年の後半あたりから、東海地方を中心として残っている路面店が狙ったように閉店していっています。

08/31 高知中央
09/17 刈谷
10/21 松阪
10/28 安城
1月予定:名古屋中央
2月予定:高蔵寺
3月予定:瀬戸店

あからさまに何らかの意図がある感じですが、要するにショッピングモールのテナントの方が合理的ってことでしょうか。まあそうですわね。


08.HMV、本気で本屋になりに行く

HMVはここ数年あまり閉店もないですが、単なる「HMV」名義のCD/DVDメインの新規出店もなく、アナログ中心の「HMV record shop」か、書店とのハイブリッド型「HMV&BOOKS」、そしてほぼ書店の「hmv BOOK store」という名義での出店になっています。
国分寺の「hmv BOOK store」に至っては、CD/DVDは小さい棚に売れ線をしょんぼり並べているだけで、本当に普通の書店。
要するに純粋な書店形態の店舗を増やしているTSUTAYAに近い路線を歩もうとしているのではないかと思うのですが、本当にそれが正しいのかはまだわからない。


09.新宿レコード、下北沢へ

西新宿界隈、あれだけあったレコード店も随分減りまして寂しい限りですが、1970年開店の老舗中の老舗、新宿レコードも西新宿の地を去りました。そしてたどり着いた新天地下北沢で、新宿レコードの屋号のまま営業再開。
本多劇場の建物の中の、正味あんまり人通りの多くないところなのですが、現在再開発中の下北沢駅の新しくできる東口改札からのアクセスは死ぬほど抜群なので、ここでもう一花。レコードの値段ちびっとお高めだけどね。


10.ポパイ、関東から完全消滅

最大で数十店舗あったはずのレンタルチェーンのポパイ。かつては業転してネットカフェになったところもありますが、ここ最近はただ閉店するばかりで。

2017/07/09 飯能店(埼玉県)
2017/07/09 川崎店(神奈川県)
2017/08/20 海老名店(神奈川県)
2018/01/19 一之江店(東京都)
2018/04/21 妙典店(千葉県)
2018/05/14 芝山店(千葉県)

芝山店をもって関東からは完全撤収。2017年には福岡地区からも撤収、残るは広島地区の4店舗のみ。静岡地区のレンタルGOROも近々で全店閉店するという話ですし、TSUTAYAやGEOがしんどい今、中小が楽なはずもなく。


以上、ポジティブなのももっと入れたいと思ったんだけど、ないわ、この界隈。言うても「開店閉店」のブログだって言ってみれば「看取る」つもりで立ち上げたのだから、俺何も言えねえ。