新星堂が大量閉店し始めたこと

CD・レコード店の開店閉店を記録するブログもやっているのですが、始めて以来毎月何らかの形で開店か閉店、言っても主に閉店ではありますが、記録できていたのが、2018年9月については遂に開店も閉店もないまま1か月が過ぎてしまいました。
その時Twitterには「正味もう新規開店もほぼなく、閉店するにも母数が減ったということですかね」と書いたのですが、ふと確認してみると、特に今年度に入って全国チェーンのCD店の閉店が激減しているんですね。

タワーレコード:±0
HMV:+2(hmv BOOK store/HMV&BOOKS業態)
新星堂:-2
山野楽器:±0

HMVはもう両方とも書籍雑誌メインで、国分寺のhmv BOOK storeなんてCDなんか1つの棚に数百枚売れ線のが置いてあって終了という酷い有様ではあるのですが。それでもここまで店舗数が動かないという状況は過去に経験がない。
もちろんこの世の中で下げ止まるとか言うことはあり得ないわけですが、それでも現状絞るところ絞って何とか経営を保てている様子ではありまして。

例の通り、タワレコはアパレルやらグッズにかなり頑張り、HMVは前述の通り、何でそっちも死に体になるのは時間の問題なのに行くのかなあと思いますが、書籍の方に出張っている。山野楽器は楽器と教室の方で命脈を保っている感じで。
残る新星堂ですが、この多少の落ち着きが一気に引っくり返りそうな事態が先日明らかになりました。

ライザップ膨張の深層−急ぎ過ぎた「結果にコミット」と無策な買収

新星堂は2008年の段階で単独での経営が立ち行かなくなり、投資会社に引き取られた後、2012年にWonderGOOを運営するワンダーコーポレーションの子会社になります。とはいえ、ワンダーコーポレーションもその時点で茨城県を拠点とするスーパーマーケット、カスミの傘下でしたので、実質子会社の子会社。
そして荻窪の本社を引き払い、カスミの拠点があるつくば市の郊外に移ります。
が、今年2月、ライザップがワンダーコーポレーションの買収を発表、結果として新星堂もその傘下ということになりました。

この話を聞いたとき、ライザップという業態が何でWonderGOOなんかいるねんと思ったものの、実際発表の際の資料には「場のシナジー」的なことが書いてあり、実際改装したWonderGOOの中にRIZAPのスタジオが入った事例もあるようですが、正味新星堂については「プライベートブランド商品を売る」くらいしか書いてなくて、何となくこれは「いらない子」状態なのではないかと思っておりまして。

というか、カスミの資本から離れて今本社はどこになったんだろうと思ってワンダーコーポレーションの会社概要で住所見てみたら、まだカスミの拠点の中にいるんですけど、これ何なんでしょうか。カスミ側にテナント料払ってるとかでしょうか。
お前らには東京の高い賃料なんて払わねえ、何となれば引っ越し代すらもったいねえ、という親会社の意志表示にも見えて泣けてきます。

そしてそんな中、この記事。完全にワンダーコーポレーション名指し。それでも当初の目論見通りWonderGOO本体は「場のシナジー」的に使える可能性はありますし、じゃあとりあえず何するのと言われれば「しんどい」会社の中でも特に「しんどい」ところから切り落としていくしかないでしょう。
光通信と組んでのモバイル機器販売もうまくいかなかった。レーベルも楽器販売部門も売却した。書籍部門も最後に残った柏店をこの5月に閉じた。グッズやアパレルを独自に展開するための前投資をするだけの余力はもうない。もうCD/DVDと、あとはトレカ売るくらいしかできないんですよ新星堂。そんなんもう完全に詰みじゃないですか。

11月30日に大井町ヨーカドー店の閉店と、先日発表がありました。これがその第1陣なのか、これはその前から決まっていたものなのかどうかはわかりませんけれど、序章にすぎないことはわかります。というか特損の処理の手間等考えたら一気に相当逝っちゃうんじゃないかとも思えてきます。
とにかく、終焉が見えてきたようです。カスミ傘下のままであったらもっと生きられたのかもしれませんが、既に独力では立てないのですから言うても詮無いことです。あとはいつ、どういう形で、というあたりでしょうか。
ああ、もう嫌になっちゃうね。仕方ないけど。